中村天風さん

 「もし困ったことでも起これば

私の代わりに『もう一人のお前』が

それを解決してくれる。

決して寂しがることはない」


中村天風さんがカリアッパ師のもと

ヒマラヤの麓でカルマ・ヨガの

修行を終え肺結核を克服し帰国する時

カリアッパ師から贈られた

はなむけの言葉だそうです。


心身統一法で有名な中村天風さん。


「人生は心ひとつの置きどころ」という言葉は

どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。


カリアッパ師は出逢いの時は

肺結核で瀕死の天風さんにむかって

こう言ったそうです。


You can save yourself.  You had better follow me.

あんた、自力でなんとかできるで。

俺についてきな。(久米意訳)



この時天風さんは自身の結核を治そうと

米国、欧州の最新の治療法を模索して回ったが

結局見つからず、病状が進行、悪化していて

失意の中フランスから日本に

帰国する途中だったそうです。

日本で死のう、母のもとで死のうと。


冥途の土産にピラミッドを一目見ようと立ち寄った

エジプトのホテルに客として居合わせ

偶然出逢った老人がカリアッパ師。



出逢いのことばも

別れの言葉も本人にしか真意はわかりません。


ただ、もう一人のお前 も Yourself も

どちらもイネイト・インテリジェンス

同じものを指しているような気が私にはします。


ちなみに(故)渡部昇一氏は

理性の上にある霊性という解釈が天風さんの考えに

近いという解釈をされています。



欧米という「外」の世界を探し回って見つからず

死の間際に「内」の世界にそれはあるんだぜと

教えてくれたカリアッパ師。



病の淵から生き返ったのも出逢いからなら

生き方を変えたのもある人の言葉との出逢いだった

ようです。


「これからのあなたは 

あなたの人生を生きるのではない。

人の世のために生きるために

あなたは生まれ変わられた。おわかりか」


天風さんの中で

なにかが変わった瞬間だったのでしょう。

この言葉を受け のちの心身統一法に向かう

道を歩みはじめられたそうです。


天風さんにこう言ったのは

かつての師である頭山満翁。


縁とは奇なものです。



WBCに出場中の大谷翔平選手を観て

急に中村天風さんの話を思い出しました。




参考文献

「陸軍中野学校の教え」福山隆氏著

「中村天風に学ぶ成功哲学」渡部昇一氏著

中村天風財団

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